ツェラトゥストラの夢


 

血塗られた壁の向こうで   

純金のイエスが赤い涙を零す

黒い犬は昨日から明日に   

女の心臓を貫いて行った

十字架に背を向けた男は  

 空洞の血管を体中に巻きつけ   

 道化者の綱を渡った

 

無神論者の心に信仰が宿る時   

すべてのものは死に向かう

太陽は闇に目覚め   

人の心の最果ての   

黄ばんだオーロラが焼け落ちて  

 目は溝池に捨てられる  

 

永久に続く   死の讃歌   

日々は夜に満ちた

アルファもオメガも 在るべき位置を失い

円を描き縮み尚も 点となり輝いて 闇に呑まれた

 

言葉は 夢を 吹いた風